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介護と介助の違いとは?介護者・介助者の心がけも確認

コラム

こんにちは、介護付き有料老人ホーム ライフピア八瀬大原Ⅰ番館です!

 

「介護と介助にどんな違いがあるの?」と、疑問に思ったことはありませんか?

 

日常生活においては「介護」と「介助」を区別せず使用するケースも多いのですが、介護の現場では明確に使い分けています。

 

今回は、介護と介助の違いについてのお話です。

なぜ介護と介助を使い分ける必要があるのか、言葉の意味や定義など、さまざまな観点から違いを解説します。

 

介護と介助の仕事内容や種類、介護者・介助者の心がけについても確認しましょう。

歩行介助する介護士

 

 

介護と介助の意味・定義・目的の違いを確認

介護と介助には、どのような違いがあるのでしょうか。

 

介護と介助の意味や定義の違い

「介護」という言葉を見ると、高齢者のサポートをしているイメージを抱く方が多いと思います。

 

介護という言葉は、高齢者だけでなく、病気にかかっている方、障害のある方、寝たきりの方などを介抱し世話をする場合や、看護をする場合にも使われます。

 

1974年発刊の『社会福祉辞典(誠心書房)』 によると、「介護」と「介助」はこのように定義されています。

「1人で動作出来ない人に対する食事、排便、寝起きなど、起居動作※の手助けを『介助』といい、疾病や障害などで日常生活に支障がある場合、介助や身の回りの世話(炊事、買い物、洗濯、掃除などを含む)をすることを『介護』という。」

※起居動作とは、寝返り、起き上がり、歩行、座位や立位の保持といった動作のことです。

 

介護の定義は、まとめると「身の回りの世話全般を行う生活援助(家事援助)家事などの生活支援」となります。

 

一方、介助の定義は、日常生活動作(ADL)をサポートする「行為」のこと。

体に不自由がある方のお風呂や買い物などに付き添って、手助けすることを意味します。

 

つまり、介護の中に介助の意味も含まれているのです。

 

介護と介護の定義について、詳しくは「介護や介護の定義とは?介護のあり方・介護者が意識すべき基本理念も」もご確認ください。

 

仕事の中では分けて使われることも多いため、後ほど詳しく説明します。

 

介護と介助の目的の違い

「介助」は、その時々の行動を補助することが目的であり、一つの行動が終わる(完了する)と目的達成です。

 

一方「介護」は、介助や生活援助の他にも、介護保険制度を活用した介護サービスの利用による「社会的援助」といった、多岐にわたる生活支援を通して「自立した生活への回復、または現状維持」を目的とします。

 

このため、起居動作の手助けをすることや、日常生活における細かなお手伝いに関して「食事介護」「入浴介護」という表現は使わないことに注意しましょう。

 

 

介護・介助の仕事内容の違いや種類も確認

車椅子に乗った女性をサポートする介護士
「介護」と「介助」の仕事内容の違いも確認しておきましょう。

 

介護の仕事内容・種類

介護の仕事内容は主に、入浴・食事・排泄などの介助を行う「身体介護」、身の回りの世話全般を行う「生活援助」、その他の支援(レクリエーションの提供、精神面のサポートなど)の3種類があります。

 

また、老人ホームや介護施設などで介護の仕事に従事している人のことを「介護士」「介護職」といいます。

訪問介護で働く介護士(介護職)は「訪問介護員」「ホームヘルパー」と呼ばれることも。

 

ちなみに、「介護福祉士」は介護に関する国家資格の名称になるため、職種とは異なるということを知っておきましょう。

 

介助の仕事内容・種類

介護の現場で「介助」という言葉を使うときは、具体的な起居動作の手助けが必要な状態を指します。

 

日常生活における介助の仕事内容・種類をご紹介します。

 

食事介助

自分ひとりでご飯を食べられない高齢者のお手伝いや見守りを行います。

具体的には、食事の前に口腔内や手を清潔にしたり、唾液の分泌を促す口腔・嚥下体操、座る姿勢の調整やエプロンの着用をさせたりなど、食事のスタートから終わりまでをサポートする仕事です。

 

入浴介助

浴槽までの移動や洗髪など、入浴する際のお手伝いをします。

適正な温度の確認や湯冷めしないようすぐに体を拭くなど、入浴前後の細かいサポートも含まれます。

 

移乗介助(移動介助)

日常生活を送る際に必要不可欠な移乗・移動の動作をお手伝いします。

介護の現場では「トランスファー(transfer)」、略して「トランス」ともいいます。

 

例えば、「ベッドから車椅子への移動」「車椅子から椅子への移動」などがあります。

 

歩行介助

歩行が不安定な場合は「歩行介助」を行います。

状況によって見守り・寄り添い・手引き歩行などでサポートします。

 

更衣介助(着替え介助)

衣服の着替えが難しい高齢者のお手伝いをします。

更衣の際の室温調整や、手助けだけでなく、自分で行えるような着替えやすい手順をサポートします。

 

排泄介助

被介護者(介護を受ける人)によって排泄介助は様々な種類があります。

具体的には、トイレ介助、ポータブルトイレ介助、オムツ介助、便器、尿器を使用する介助などです。

 

【豆知識】介助の仕事ではサービス介助士という資格もある

高齢者や障害がある方を適切にサポートできることを証明する「サービス介助士」という資格があります(公益財団法人日本ケアフィット共育機構が発行している民間資格)。

 

サービス介助士の資格を取得している人は、交通機関やデパートといったサービス業をはじめ、様々な分野で活躍しているようです。

 

注意点として、介護の仕事に従事するにはサービス介助士の資格だけでなく、介護現場で必要な資格(介護職員初任者研修、実務者研修、介護福祉士など)を取得しなければなりません。

 

 

介助の4段階「自立」「一部介助」「半介助」「全介助」について知ろう

どの程度の介助が必要か、ということを表す基準として「自立」「一部介助」「半介助」「全介助」の4段階があります。

  • 自立:基本的に自分ひとりである特定の行動ができる人
  • 一部介助:基本的に自分で行動できるが動作に不安があり、見守りや誘導/支援が必要
  • 半介助:「支えがあれば、ゆっくり歩ける」「スプーンを使い見守りをすることで食事がとれる」といった何らかの手助けが必要であるものの、自身の能力も残っている状態
  • 全介助:ある特定の行動に関し、手助けがあっても自分で行動することができない状態

 

全介助以外は、本人の能力がどのくらい残っているかで介助の内容が変わってきます。

 

また、食事は自分でとれるが麻痺(マヒ)があり家事のサポートは必要など、ある動作においては自立していても、他の作業には介護・介助が必要というケースも存在します。

 

 

介護者・介助者の双方が心がけたいことは?

介護者・介助者の双方が心がけたいことには、どんなことがあるでしょうか。

 

先ほどご紹介しましたが、「一部介助」や「半介助」の人は何らかの手助けが必要ですが、自身の能力も残っている状態です。

そのため、日々訓練をすることが症状の進行を緩やかにすることに繋がります。

 

予防介護の観点からも、介護者はなるべく自立支援を進め、被介護者の残っている能力を引き出したり、活かしたりできる介護を心がけましょう。

 

特に高齢者は一度「全介助」と判断されると、介護度・介助度を回復するのが困難になり、将来の自由度にも差が生じます。

 

「スプーンは握れないけれど、ゆっくりなら手首は動く」という人に対して食事すべてにおいて介助しがちですが、「介助者がスプーンを装具につけることにより、自分で食事ができる」という可能性もあります。

 

同様に「支えにより歩ける被介助者(被介護者)」に対し、立ち上がる瞬間や段差以外では手を添える程度で十分なのに、しっかり支えてしまう介助者がいます。

これでは被介助者(被介護者)の歩く力を弱める要因になってしまうことも。

 

もちろんトレーニング自体は慣れるまで大変ですが、「できるようになった」という実感は被介護者・被介助者の満足度につながり、行動範囲が広がることもあります。

 

また、介護者・または介助者が被介護者に付きっきりでいることと、ゆっくり見守りを行うことでは、同じ時間一緒にいても双方の負担度合いに大きな差が出ます。

 

一部介助・半介助の状態をキープすることは、介護全体の負担が軽減するため、介護者・被介護者の双方にとってメリットがあるのです。

 

長期間の介護には、被介護者の可能性を奪うことのない介護プランを立てることが不可欠といえます。

 

声がけやサポートを取り入れつつ、無理のない範囲で積極的に自立した生活への回復、または現状維持のためのトレーニングをしていきましょう。

 

 

介護と介助の特徴や違いを知り、予防介護を心がけよう

介護とは、介抱し世話をする場合や、看護をする場合に使われる言葉です。

一方、介助は日常生活動作を行う際に付き添って手助けすることを指します。

 

社会福祉辞典による介護の定義には、起居動作の手助けをする「介助」と、身の回りの世話全般を行う生活援助(家事援助)の意味が含まれています。

 

介助と介助には目的にも違いがあり、介助は一つの行動が完了すると目的達成ですが、介護は多岐にわたる支援を通して「自立した生活への回復、または現状維持」が目的となります。

 

介護と介助は仕事内容の意味合いにも違いがあり、介護の仕事内容は主に「身体介護」「生活援助」「その他の支援」の3種類です。

 

介護の中に介助は含まれますが、具体的な仕事内容は「食事介助」「入浴介助」「移乗介助(移動介助)」「歩行介助」「更衣介助(着替え介助)」「排泄介助」のように、様々な種類があることを知っておきましょう。

 

予防介護の観点からも、介護者はなるべく自立支援を進め、被介護者の残っている能力を引き出したり、活かしたりできる介護を心がけてくださいね。

 

私たちライフピア八瀬大原Ⅰ番館は安心の看護・介護体制でご入居者様を24時間サポートする、介護付き有料老人ホームです。

 

ご見学も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

この記事を監修した人

佐藤 晋策

佐藤 晋策 (ライフピア八瀬大原Ⅰ番館 現場責任者)
京都大原記念病院グループに介護職として入職。デイサービスで現場介護スタッフ、相談員などとして約7年間、現場業務に従事。
事務職 転身後、ライフピア八瀬大原Ⅰ番館の現場責任者に就任し、現在に至る。
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