介護や介護の定義とは?介護のあり方・介護者が意識すべき基本理念も
こんにちは、介護付き有料老人ホーム ライフピア八瀬大原Ⅰ番館です!
「介護」という言葉自体は一般的に広く知られており、あえて説明をしないこともしばしば。
ですが、実際に介護や介護の定義について細かなことまで説明できる人はそう多くありません。
「要介護度」や「要支援」などの介護に関する単語の認知度が上がるにつれて「介護」そのもののイメージがかえって掴みにくくなった、と感じることはありませんか?
今回は、介護とは何か、介護の定義について詳しくご紹介します。
この機会に、介護のあり方や介護者が意識すべき介護の基本理念も確認しましょう。
介護とは?介護の定義や介護のあり方についても知ろう
「介護」という言葉を見ると、高齢者のサポートをするイメージを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
「高齢者を介護する」という意味で「介護」の言葉が使用され始めたのは、1963年に施行された「老人福祉法」の中だといわれています。
それ以降、急速に世間一般に「介護」という言葉が広まったことや、近年の高齢化社会の影響を受け、高齢者介護に注目が集まっています。
しかし本来の意味での「介護」とは、高齢者のみならず、病気やケガの療養中の人・心身に障害を持つ人などが対象です。
「介護」とはどんなことを行うかご説明する前に、まずは「介助」についてご紹介します。
介助と介護の違いとは
介助とは、食事、排泄、寝起きといった日常生活を送る際の起居動作(寝返り、起き上がり、歩行、座位や立位の保持など)の補助をすることです。
介助にはこのような種類があります。
- ・食事介助
- ・排泄介助
- ・更衣介助
- ・移乗介助
- ・歩行介助
- ・入浴介助
一方「介護」となると、起居動作の補助をする「身体介助」だけでなく、炊事・掃除・買い物・洗濯といった身の回りの世話全般をする「生活援助」、精神的な問題に対する「精神的援助」、介護保険を活用した介護サービスの利用などの「社会的援助」と、多岐にわたるサポートを行います。
「介護」は、被介護者(介護を受ける人)の障害や認知度に応じてケアを行うのが一般的です。
生活全般に対してケアを行うものの、同じ障害部位でもできることには差があるということも知っておきましょう。
「介護」と「介助」の違いについて詳しくは、こちらのコラムをご確認ください。
介護と介助の違いとは?介護者・介助者の心がけも確認
介護の定義やあり方とは
定義としては「日本社会事業学校連盟・全国社会福祉協議会施設協議会連合会 1988年」において以下のように示されています。
「老齢者や心身の障害者など日常生活を営む上で困難な状態にある個人を対象に、専門的な対人援助を基盤に身体的・精神的・社会的に健康な生活の確保と成長、発達を目指し、利用者が満足できる生活の自立をはかること」
被介護者がやりたいこと、やれないこと、やってほしいこと、やらないでほしいことにも個人差があります。
目の前の被介護者と常に向き合い、個人差を個性と捉えたうえで、ご本人に必要なサポートを見極め、自立に向けた援助、もしくは症状の進行を抑えて現状維持を目指すのが「介護の定義」といえます。
介護者が意識すべき基本理念「介護の3原則」も確認
介護者(介護を行う人)は介護を続けていくと「無難にこなすこと」自体に目が行きがちです。
もちろん介護を円滑にこなすことも大切ですが、相手(被介護者)は感情のある人間です。
ただ、介護者は介護を行う上で具体的にどのように取り組んだら良いのか悩みますよね。
そこで、ぜひ知っていただきたいのが介護の基本理念です。
1982年にデンマークで提唱された「介護の3原則(高齢者福祉の3原則)」をご紹介します。
介護者が意識すべき3つの考え方を確認しておきましょう。
①自己決定権の尊重
特に家庭での介護において、介護者は介護以外にも仕事や自分が支えている家族が存在し、その両立に意識が行くあまり被介護者の気持ちをないがしろにしてしまうケースが見られます。
もちろん、決まった時間にご飯を食べ、決まったサイクルで入浴するといった行動ができれば双方に負担が軽くなり理想的ですよね。
ですが、「今ご飯を食べたくない」「お風呂に入るには調子が良くない」など、被介護者本人の気持ちを優先しても、さほど大きな問題にならないこともあります。
また、介護をきっかけとして同居を始めたり老人ホームへ入居したりという「環境の変化」がストレスとなり、ワガママ(にみえる)主張をすることも。
全て介護者・被介護者のどちらかの意志を通すのではなく、なぜその主張をしたかを推察しながら臨機応変に対応することが、双方の信頼関係を築くきっかけになります。
②継続性の尊重
認知症の状態にある方は、複雑な環境の変化に対応しづらいのが特徴です。
デイサービスや家族の介護を組み合わせること自体は適度な刺激を受け、認知症の進行を抑えることにもつながりますが、なるべくご本人に合った環境を早めに見つけ、その環境を長期間継続することが大切です。
③残存能力の活用
麻痺(マヒ)の範囲が大きい方の介護をするとき、介護者が食事や入浴の介助などをすべて代わりにやってしまったほうが早いこともあります。
例えば「指先や手先は動く・半身マヒで健常な側は不安が少ない・介助があれば歩行が出来る」といったケースでは、なるべくご本人の能力を活かしながら介護を行うことが大切です。
ご本人も自分の能力を自覚し、工夫して生活することでマヒや認知症の進行を抑制する効果が期待できます。
介護者が知っておくべき介護の3原則を実現するために必要なポイント
「介護の3原則(高齢者福祉の3原則)」を実現するためには、どんなことが必要なのでしょうか。
被介護者の尊厳と、なるべく自立できる環境を保ち、介護者も安心して生活するために、介護者は4つのフォローを意識することが大切です。
地域社会との連携
被介護者は介護中、自宅内あるいは老人ホーム内といった小さなコミュニティ内で生活することが多くなるため、介護者は自分の介護が正しいのか不安になりがちです。
しかし、「誰にでも正しい介護」は存在しません。
被介護者の障害の程度や健康状態はそれぞれ異なり、ご本人の性格によっても介護の内容は変わります。
地域包括支援センターや役所の介護保険課など、介護で困ったときの相談窓口についても確認しておきましょう。
地域によっては在宅介護者のための支援セミナーを開催している場合や、介護をしている人たちが集まって意見交換できる「ワークショップ」・座談会などを開催しているコミュニティもありますよ。
介護保険の利用
高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして「介護保険」があります。
良い環境の中、長期間継続して介護を続けるために重要な制度です。
介護保険制度の被保険者は、①65歳以上(第1号被保険者)、②40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)です。
「要介護状態(寝たきりや認知症などで常時介護が必要)」「要支援状態(日常生活に支援が必要)」と判定された場合、介護保険で利用できる介護サービスを受けることができます。
介護サービスといっても様々な種類があり、訪問介護サービス、通所介護サービス、短期入所サービス、施設・特定施設型サービス、福祉用具の利用にかかるサービスなど幅広いです。
介護サービスをピックアップしてご紹介します。
- ・訪問介護(ホームヘルプ)
- ・通所介護(デイサービス)
- ・通所リハビリ
- ・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- ・介護老人保健施設(老健)
- ・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)
- ・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- ・特定福祉用具販売
介護保険によるサービスを利用するには、お住まいの市区町村の窓口で要介護認定の申請が必要です。
介護者の負担軽減と介護サービス施設の活用
被介護者の健康状態によって「介護」は長期にわたる取り組みとなり、要介護度が高ければ介護者側の心身の負担も多くなることが予想されます。
家族が高齢者の在宅介護をするとき、複数の家族がいるのであれば一人に負担を強いることのないように分担し、支え合っていくことが介護の大前提です。
現在、在宅での介護生活に何らかの不安や悩みがある場合は、自治体や地域支援事業などの手助けを得るor助けを借りる、または専門的な介護サービスが受けられる老人ホームや介護施設への入居も検討してみましょう。
介護者・被介護者が過度な不安やストレスを感じないように気を付けることも、長く介護を続けるために重要なポイントになります。
老人ホームへの入居を検討しているご家族の方は、こちらのコラムもぜひご覧ください。
老人ホームに入居するメリットは?ご家族が得られるメリットも紹介
老人ホームなど介護施設に親が入居することへの罪悪感と向き合うために
介護予防
なるべく自分で日常の動作を行うように努め、要介護度をあげないように配慮しましょう。
一度要介護状態になると、再度自立状態まで回復するためには時間や本人の強い意志が必要になります。
介護が必要になる前に介護予防をすることで将来の要介護度を抑え、高齢者の自立に向けてサポートすることが大切です。
介護の定義・あり方を知り被介護者に必要なサポートを見極めよう
「介護」とは、起居動作の補助(身体的介助)、身の回りの世話全般(生活援助)、精神的な問題に対する援助(精神的援助)、介護保険を活用した社会的サービスの利用(社会的援助)と、多岐にわたるサポートを行うことを指します。
被介護者の障害の程度や健康状態、認知度はそれぞれ異なり、できることや性格にも個人差があることを知っておきましょう。
個人差を個性と捉えたうえで、ご本人に必要なサポートを見極め、自立に向けた援助、もしくは症状の進行を抑えて現状維持を目指すことが「介護の定義」といえます。
被介護者は介護中、自宅内や老人ホーム内といった小さなコミュニティ内で生活することが多くなるため、介護者は自分の介護が正しいのか不安になりがちです。
しかし、「誰にでも正しい介護」は存在していないため、過度な不安を感じる必要はありません。
現在、在宅での介護生活に何らかの不安や悩みがある場合は、自治体や地域支援事業の手助けを得ることや、専門的な介護サービスが受けられる老人ホームや介護施設への入居を検討することもおすすめです。
私たちライフピア八瀬大原Ⅰ番館は安心の看護・介護体制でご入居者様を24時間サポートする、介護付き有料老人ホームです。
ご見学も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
この記事を監修した人
- 佐藤 晋策 (ライフピア八瀬大原Ⅰ番館 現場責任者)
- 京都大原記念病院グループに介護職として入職。デイサービスで現場介護スタッフ、相談員などとして約7年間、現場業務に従事。
事務職 転身後、ライフピア八瀬大原Ⅰ番館の現場責任者に就任し、現在に至る。