高齢者とのコミュニケーションで気をつけるポイントと注意点
こんにちは!ライフピア八瀬大原Ⅰ番館です。
今回は「高齢者とのコミュニケーション」についてお話します。
昨今では核家族化が進み、高齢者と触れ合う機会が少ないまま大人になる方も珍しくありません。
しかし、超高齢社会を迎えた今だからこそ、高齢者と潤滑にコミュニケーションをとる必要も生まれています。
高齢者の方への対応と若年層への対応は違うのか、気を付けたいポイントなどについて考えてみましょう。
高齢者側の体調や病状に合わせた対応を心掛ける
高齢になると、耳が聞こえにくくなるなど会話の途中で思考に時間を要する方が増えてきます。
そのため、高齢者とコミュニケーションをとるときはゆっくりと大きな声で話すなど、簡単な言葉に置き換えることが大切になります。
具体的には次のような対応があげられます。
・コミュニケーションの開始
複数の高齢者がいるリビングなどで会話を始めても本人は自分が話しかけられていると気づかないことがあります。「名前を呼んでから会話する」「目線を合わせる」のような対応でコミュニケーションのきっかけを提供するとよいでしょう。
・声の大きさ
普段の会話より気持ち大きな声で話したり、耳元で話しかけたりします。
がなり声はかえって聞きにくいので、いつもより大きい位から調整していきましょう。
・声のトーン
高齢者は高い音が聞き取りにくい傾向にあります。女性で声の高い方は特に意識して声の高さを下げると聞き取りやすくなります。
・敬語のバランス
介護スタッフが介護を行うとき、基本的に相手は年上であり「人生の先輩」です。
きちんとした敬語を使うと内容を認識しづらい方には言葉の置き換えは必要になりますが、その場合も語尾は丁寧語を用いて、相手の人格を尊重することが大切です。
・会話内容
最初は天気や体調の話題などから進め、相手が興味を持つ話題をいくつか持っておくとよいでしょう。
高齢者とひとくくりにせずに様々な年代層の話題を持っているとより会話しやすくなります。
また、自身で歌うことは苦手でも、昔の楽曲が好きな方もいます。
一つのテーマでもアプローチ方法で伝わり方が変わります。
高齢者は赤ちゃんや幼児ではない
高齢者とのコミュニケーションに慣れていない方が陥りがちなのが「まるで幼児に話しかけるようなイメージで接してしまう」ことです。
特に認知症が進行している方はこちらの働きかけにうまく対応してくれず、あたかも赤ちゃんに接するような言動をされるご家族や介護士などがいると耳にします。
しかし認知症が進んでも、突然昔の記憶が戻るなど一時的に標準的な対応が可能なこともあるのです。
認知症ではないなど、進行度が軽微といった「時間をかければ思考ができる方」にもこのような対応をしてしまうと、きちんとしたコミュニケーションと呼べないばかりか、十分な信頼関係を築けない可能性すらあります。
介護の現場で介護を提供する側と介護を受ける側の信頼関係は重要なものです。
もちろん大変なこともありますが、まずは大人同士であるという前提を忘れずに、相手に敬意を払ったコミュニケーションを心掛けることが大切です。
高齢者の言葉を最初から否定しない
認知症を患っている方は「私の財布を盗んだ」「〇〇にいじめられた」と真実とは異なることを訴えることがあります。
また、認知症がなくても勘違いで物を置いた場所を忘れたり、なくしものをしたりすることもあります。
こんな時、介護提供者はついつい否定したくなります。
しかし、自分の言葉を真っ向から否定されるとやはり気持ちの良いものではありませんので、うまく聞き上手になりましょう。
・認知症のある方「私の財布を盗んだ」
「そんなわけありませんよ」
〇「大変でしたね、施設にも報告しておきますね。」
(場合によっては念のため一緒に探してみる)
・不注意で「〇〇をなくした」
だからいつも片づけてって言っているじゃないですか
〇一緒に探しましょうか。
(場合によっては必要な物を一つの袋に入れるなど、なくさない工夫も提案する)
もちろんすべての事象を受け入れることは容易ではありませんし、否定して対応するより時間もかかってしまうでしょう。
しかし、可能な限り高齢者の話を聞き、いったん受け止めてみることで、普段から「〇〇さん(介護提供者)は話を聞いてくれる」という認識を持ってもらえると、介護にも協力的になり、双方にメリットをもたらします。
高齢者だからと必要以上に身構える必要はありません。
高齢者側にもコミュニケーションの好きな方と苦手な方、もともとの性格などもあります。
しかし、コミュニケーションを普段からとっていることで、病状の進行度合いや、介護方法の改善点などが発見でき、より濃密な介護内容を提供できます。
この記事を監修した人
- 星野 英俊 (ライフピア八瀬大原Ⅰ番館 事務長)
- 京都大原記念病院グループに介護職として新卒入職。京都大原記念病院 現場介護スタッフ、介護老人保健施設で施設相談員(ケアマネジャー)などとして約15年間、現場業務に従事。
事務職 転身後、ライフピア八瀬大原Ⅰ番館の事務長に就任し、
現在に至る。