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老人ホームの入居に「保証人」が必要?役割や見つからない場合の解決策

コラム

こんにちは、介護付き有料老人ホーム ライフピア八瀬大原Ⅰ番館です!

 

老人ホームや高齢者向け住宅の約8割で入居の条件として設定されているのが「身元保証人」です。

身元保証人は高齢者施設に限らず、賃貸住宅の契約の際なども求められることがほとんどなので、一度は耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?

近年、老人ホームの入居に関して「身元保証人が準備できない」と入居をあきらめるケースも増えてきています。

なぜ、身元保証人が必要なのか?
身元保証人が立てられないが、老人ホームに入りたい場合はどうすればいいのか?
身元保証人の役割とともに身元保証人が見つからない場合の解決策を探ります。

 

老人ホームにおける「身元保証人」の役割とは?

身元保証人は身元引受人とも呼ばれますが、老人ホームにおいては特に重要な役割を担っており、入居の条件として重要な項目となっています。

主な役割としては以下の3つが挙げられます。

 

① 施設費用の遅延、滞納などにかかわる保証

老人ホームの入居料など、ご利用者様本人による支払いが難しくなったとき、施設側は身元保証人に支払いを求めることができます。

ご利用者様に不動産などの資産があり、ご利用者本人による手続きが難しいときは、身元保証人が不動産などの資産を現金化して入居料にあてる手続きをすることもできます。

ただし入居者が認知症など「自己判断ができない状態」になったときは、この手続きは身元保証人ではなく成年後見人(成年後見人については次の項目でご説明します)を立てて行わなければなりません。

 

② ケアプランや治療方針の決定

ご利用者様の体調や体力の状態は、生活していくうえで変化していきます。

心身の変化に合わせて通院や治療・入院が必要になった際やケアプランの変更が必要になった場合、本来はご利用者が方針を決定しますが、対応が難しい場合には身元保証人が判断・手続きを代行することになります。

特に医療方針に関しては、施設側が決定を下せないので、緊急を要する場合に判断を委ねられる身元保証人の存在は重要です。

 

③ 死亡時の対応

老人ホームで最期を迎えられる方もいらっしゃいます。老人ホームを終の住処として入居される方も多いことから、死亡時の対応を求めるケースは今後増えてくることでしょう。

ご利用者様がお亡くなりになった際の退去手続きや荷物の引き取りなど、契約の終了に関する手続きは身元保証人にお願いすることになります。

 

「身元保証人・身元引受人」と「成年後見人」どう違う?

成年後見人制度は
・任意後見制度
・法定後見制度
の2種類からなります。

簡単に説明すると
・任意後見制度・・・「判断力があるうちに」本人が後見人を選んでおくもの
・法定後見制度・・・「判断力がなくなった人」の後見人を選定するもの

任意後見制度は契約として「今後は○○さんに判断を委ねたい」と取り交わしておきますが、法定後見制度は家庭裁判所の判断により親族・家族や弁護士・司法書士などが選任される点が異なっています。

 

「身元保証人・身元引受人」と「成年後見人」の役割の違い

後見人の役割は、財産管理や生活面での見守り、契約や管理の手続きを本人に代わって行うことです。

基本的には手続き関係を行うのが役目で、身元保証人に求められるような「入居料の支払い」や「ご遺体の引き取り」などはしなくてもいいことになっています。

老人ホームの中には「成年後見人」としての署名でありながら、身元保証人・身元引受人と同様の権利と義務が発生する契約を取り交わす施設もあるようです。

成年後見人はあくまで法的な手続きの代行・財産の管理に対し責任を負う立場となっており、
・すでに認知症などで自己判断ができない方=成年後見人がいる状態
・入居時に自分の意思で判断し契約する=身元保証人をたて入居する
(現時点では自分の財産を管理し入居ができる)

という状態が矛盾することになってしまいます。

このため成年後見人は身元保証人・身元引受人として契約を結べないのが一般的です。

また、親族が成年後見人になっている場合で、遺品の引取りや医療行為の決定などに責任を負える方がいる場合は、他の親族が成年後見人ではなく身元引受人として入居契約を取り交わすことになります。

 

身元保証人を立てずに老人ホームに入れますか?

身元保証人を入居の条件としている施設は全体のおよそ8割、つまり残りの2割は身元保証人なしでも入居可能ということになります。

身元保証人なしでも入居が可能な施設では、一般の賃貸住宅契約時のように民間の保証会社を間に挟むことが多いようです。

保証会社は民間の業者だけでなくNPO法人などの形態もあり、自治体によっては補助金を出して社会福祉協議会が身元保証人としているところもあります。

ただし、自治体で身元保証人サービスを行うところはまだまだ少なく、財源も限られていることから受け入れ人数も少ないので、一般的には民間の保証会社を利用することが多いかと思います。

身元保証サービスを受けるためには「預託金」という形でお金を納める必要があります。
金額は数百万と大きいことが多く、保証内容のサービスを追加すると金額も上がっていきます。

 

保証人を立てられず、保証会社とも契約できない場合は?

すでに生活保護を受けているなど保証会社と契約できない場合」は、特別養護老人ホームへの入居を相談してみましょう。

月々の価格が抑えめで、公的機関が運営していますので入居負担金も少ない状態で介護サービスも受けられます。
ただし、要介護3以上、家族がおらず介護できる人がいないなど、介護の環境を早く整えなければならない人が優先されます。

 

まとめ

身元保証人は、老人ホームの入居条件として求められることがほとんどです。

入居料の保証や入居時における重要な手続きなど、ご利用者の代わりとなって動ける存在は、施設にとっては欠かせません。

成年後見人制度によって後見人を立てるケースも増えてきましたが、注意すべきは「後見人は身元保証人にはなれない」ということ。

核家族化が進んだことで周りに頼れる人がいないというケースも増えており、その場合は民間やNPO団体の身元保証サービスを利用することで入居可能になる場合もあります。

生活保護を受けており、身元保証サービスも使えない場合は行政や、特別養護老人ホームへの入居を相談してみましょう。

 

この記事を監修した人

星野 英俊

星野 英俊 (ライフピア八瀬大原Ⅰ番館 事務長)
京都大原記念病院グループに介護職として新卒入職。京都大原記念病院 現場介護スタッフ、介護老人保健施設で施設相談員(ケアマネジャー)などとして約15年間、現場業務に従事。
事務職 転身後、ライフピア八瀬大原Ⅰ番館の事務長に就任し、
現在に至る。
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