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老人ホームにおける「プライバシー保護」について考えよう

コラム

こんにちは!ライフピア八瀬大原Ⅰ番館です。

 

新規の入居希望者様本人や、そのご家族が一度は気にかかることに「プライバシー保護」があります。
今までは見ず知らずだった同年代の人と寝食を共にするのですから、最初は不安があって当然でしょう。
しかし、きちんと配慮の整った施設であれば、安心して生活できる場所でもあります。

今回は、「老人ホームにおける、プライバシー保護」をテーマに考えてみましょう。

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施設職員は「プライバシー保護」を徹底することが原則

介護施設では、想像以上に多くの個人情報を取り扱います。
入居者様の家族構成や連絡先などの基本的なことから、入居者様の既往症、投薬状況、食の好みやアレルギー、介護における対応のポイントや、持ち込んだ現金の額など多岐にわたります。

これらの情報は、2005年に施行された「個人情報保護法」と厚生労働省が2004年に定めた「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」に基づき適切に使用、管理することが求められます。

この法律・ガイドラインの制定をうけて、施設独自のプライバシーポリシーを掲げている施設も近年増えてきています。

大手企業でも近年、個人情報の漏洩に関する謝罪会見などが後を絶ちませんが、特に個人を特定できる入居者様自身やご家族の連絡先、資金などの名簿が流出すると犯罪のターゲットにされる可能性すらあり、厳重な管理が必要になります。

中小規模の施設であっても油断はできず、施設側が主体性をもって個人情報を保護することが大切です。

加えて、健康な時には人に見せなかった、排泄や入浴も介護職員がお手伝いすることになります。

その際、どんなに高齢になっても、入居者様の心の中では「恥ずかしい」と考える人がいるということを忘れずに対応することが、おのずとプライバシー保護につながっていきます。

 

相部屋では入居者同士のプライバシーが守られにくいと感じる人も

施設運営側ができるプライバシー保護の原則だけではなく、「入居者様同士のプライバシー保護の必要性」についても、重要なこととして考えなければなりません。
老人ホームでは、自己負担金の予算に応じて、相部屋を用意している施設が多数あります。

相部屋のメリットは、「介護職員が1度の巡回で、複数の入居者様の状態を確認でき、結果的に手厚い介護につながる可能性が高い」という点です。
一方でデメリットとして、常に同じ居室内にほかの入居者様がいるため、たまには一人になりたいと思っても、なかなか自由に一人になれないのが現状です。

また、入居者様の中には、「ほかの入居者様に介護されている姿を見られるのは恥ずかしい」と感じる方が多くいらっしゃいます。
万が一おむつから尿が漏れたり、トイレに間に合わなかった場合、同じ居室内の入居者様に知られてしまい、元気をなくしてしまうケースも考えられます。

 

個室では入居者同士から受ける心理的負担は軽減

入居者同士のプライバシー保護の観点からすると、サービス付き高齢者向け住宅や老人ホームの個室へ入居されるのが、一番自宅で介護を受けるのに近い状態で生活できるでしょう。
実際、新規設立する老人ホームの多くが個室を設置しています。

ただ、個室であっても基本的に共同生活の場である以上、完全にプライベートな空間ではありません。スタッフの巡回や、隣の居室の声などにストレスを感じることもあります。

また、日常生活は個室内で過ごせても、食事はリビングで共同で行うのが原則、入浴は施設内の大風呂を使用する、という施設も多く、一日に一度も他者と顔を合わせず生活を送ることは困難です。

孤独死防止の面からすればとても意味がある反面、やはり在宅介護にはない「プライベートとオフィシャルの場所が混在している」ことは、プライバシーの保護を重んじる上で大切な問題といえます。

 

プライバシーは介護職員・施設側の配慮で、最大限守ることが可能です。
とはいえ、相部屋で個室のような行き届いたプライバシー管理には限界があります。
個室契約であっても、居室から出てしまえば、共同生活を営むことになります。

これらをふまえて、ご家族も介護施設側と一緒に財産を守ったり、定期的な訪問で介護職員が見落としてしまった不満をすくい上げて、施設運営に反映させるといった、「二人三脚の介護」がより快適な生活のためには不可欠でしょう。

 

まとめ

・老人ホームにおけるプライバシー保護は、施設の規模にかかわらず、運営側が主体性をもって保護することが大切。また、入居者様個々人の対応内容に関しても、しっかり配慮することが重要。
・相部屋では自己負担金が抑えられるものの、プライバシーには配慮の限界がある
・個室でも完全なプライベート空間ではないので、ストレスを感じる可能性はある

 

この記事を監修した人

星野 英俊

星野 英俊 (ライフピア八瀬大原Ⅰ番館 事務長)
京都大原記念病院グループに介護職として新卒入職。京都大原記念病院 現場介護スタッフ、介護老人保健施設で施設相談員(ケアマネジャー)などとして約15年間、現場業務に従事。
事務職 転身後、ライフピア八瀬大原Ⅰ番館の事務長に就任し、
現在に至る。
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