高齢者の半数以上が低栄養のおそれ!?栄養不足の原因や対策を知ろう
こんにちは、介護付き有料老人ホーム ライフピア八瀬大原Ⅰ番館です!
「高齢者の半数以上が低栄養素、もしくはそのおそれがある」というデータがあることをご存知でしょうか?
食べるものに困らず、良好な栄養状態が維持しやすい現代に起こっている「低栄養」とは一体どのようなものなのか、詳しくご説明します。
高齢者の低栄養にはどんな危険性がある?
「平成 24 年度老人保健健康増進等事業 在宅療養患者の摂食状況・栄養状態の把握に関する調査研究 報告書(国立長寿医療研究センター)」によると、在宅で介護を受ける高齢者の栄養状態について次のような結果が公表されました。
・36.0%が「低栄養」
・33.8%が「低栄養のおそれあり」
栄養状態が良いとされている現代でも、高齢の在宅介護患者のおよそ7割が低栄養状態、またはその可能性が高いという驚きの結果となっています。
高齢者が低栄養を起こすことには、たくさんの危険が潜んでいることをご存知でしょうか?
低栄養の症状や、低栄養による危険性についてご説明します。
そもそも「低栄養」とは?どんな症状?
低栄養とは次のような栄養素が足りずに、健康な体を維持することが出来なくなる状態をいいます。
・エネルギー
・たんぱく質
・ビタミン
・ミネラル
高齢者の場合、「咀嚼(そしゃく)機能の低下」「消化機能の低下」「筋肉量・水分量保持の低下」によって、栄養が吸収されにくくなることも低栄養を引き起こす要因となっています。
低栄養の症状としては次のような症状が挙げられます。
・体重の減少(体の筋肉や脂肪の減少)
・体力の低下
・風邪にかかりやすい
・食欲が無い
・筋肉量の低下
・傷が治りにくい
・腹部や下半身のむくみ
一見して加齢に伴う症状と間違われやすいですが、低栄養が原因であることも多いのです。
低栄養は多くの危険性をはらんでいるため、日ごろから十分に注意しなければなりません。
「太っていたら低栄養にはならない」という考えは危険!
高齢者の場合、BMI(体格指数)が20以下の場合、低栄養の危険性が高まると言われています。
【BMIの求め方】
BMI(体格指数)=体重(kg)÷(身長(m)× 身長(m))
※たとえば、身長170cm・体重75kgの人の場合、BMIは「75kg ÷(1.70m × 1.70m)= 25.95」になります。
ただし、太っているからといって低栄養にならないわけではありません。
たとえ体格が良くても、脂質や糖質メインでたんぱく質がきちんと摂れていないと低栄養状態になります。
体型がふくよかな場合、低栄養が見落とされがちです。
たんぱく質をバランスよく取って必要なエネルギーをしっかりと摂取できるように気を付けましょう。
高齢者の場合は特に注意!低栄養による危険性とは?
低栄養になることで病気やケガのリスクは高くなります。
具体的には次のようなリスクが高まります。
・体力、免疫力の低下
・気力の低下
・認知能力の低下
・骨密度の減少(骨折の危険度アップ)
高齢者の場合、骨折は寝たきりになってしまうケースも多く、寝たきりになることで運動量も減ってしまいます。
筋肉量もさらに低下してしまい、低栄養状態の悪循環に陥ってしまうことも少なくありません。
すでに介護を受けているような方も、さらに生活自立度が下がってしまい、要介護度の上昇を招くリスクがあります。
低栄養状態の場合、病気の回復力が落ちるだけでなく、合併症による死亡率も高くなるという研究結果もあります。
高齢者が栄養不足になる原因とは?
高齢者が低栄養状態になってしまう原因を見ていきましょう。
食べる量が少なくなる
加齢に伴う運動量の低下や消化能力の低下により、高齢者はどうしても食べられる量が減ってしまいます。
また、咀嚼力(そしゃくりょく)が弱くなることでも、食べられる量が限られてしまうのです。
虫歯があったり、入れ歯が合わなかったりすることも、食事を美味しく感じられなくなってしまい食事量の低下につながってしまいます。
特に歯が不健康だと、繊維質のものや肉などが食べにくくなり、栄養バランスも悪くなりがちです。
たんぱく質を摂らない
高齢になることで食事が質素になると、体に必要なたんぱく質(肉・魚・卵・大豆など)を十分に摂ることができなくなってしまいます。
一人暮らしなどで食事がおっくうになり、手軽におにぎりやパンだけで済ませてしまうことも、高齢者がたんぱく質不足になる原因の1つです。
認知症などの影響による偏食
認知症などになると、決まった食材しか食べないような状態が続きがちになります。
そのため、栄養が偏り、低栄養になりやすくなります。
体調不良によるエネルギー不足
高齢になるとちょっとした体調不良でも下痢や嘔吐など症状が出やすくなってしまいます。
このような体調不良が続いていると、体が回復しようと必要以上にエネルギーを使おうするため、エネルギー不足が起こってしまうのです。
高齢者の低栄養を防ぐための対策
低栄養を防ぐためには必要なエネルギーとたんぱく質をしっかりと摂ることが大切です。
とはいえ、食事量も減りがちな高齢者ですと十分なたんぱくを摂るのもなかなか大変ですよね。
特に、一人暮らしの高齢者は、毎日の食事を作るのも負担になってしまうことが多いのではないでしょうか。
高齢者でも手軽に毎日続けられるような低栄養対策をご紹介します。
レトルトや宅配の食事を利用する
「栄養を考えるのは面倒」「食事を作れない」という場合は、高齢者向けのレトルト食品や食事の宅配を利用してみましょう。
レトルトの場合、ほどよいとろみも付けられているものも多いので、歯が弱っている人にも食べやすく、ドラッグストアなどでも手に入りやすいのも続けやすいポイントです。
宅配の食事の場合は、管理栄養士がトータルで栄養バランスを計算してくれるので、しっかりと栄養を摂ることもできて、低栄養素防止により効果的です。
誰かと一緒に食事をする機会をつくり、食事を楽しむ
「食事の時間を楽しむ工夫」をすることも低栄養対策のひとつ。
ご家族で食事をする以外に、デイサービスなどの地域支援事業に参加するなど、誰かと一緒に食卓を囲む機会を増やすこともおすすめです。
一緒に食事をすることで会話が弾み、食事をよりおいしく感じさせてくれます。
日々の食事にたんぱく質をプラス!
栄養バランスは難しく考え過ぎずに、まずはたんぱく質の摂取量を増やすことから始めてみましょう。
朝、昼、夜の食事と間食にそれぞれ一種類ずつたんぱく質を追加します。
<低栄養対策の食事例>
・朝ごはん
パン、スープ + 目玉焼きやハム・ベーコンを追加
・昼ごはん
かけそば + 豚肉又は鶏肉をトッピング
・間食
せんべい → カステラやプリン等、卵を使ったおやつに変更
・夜ごはん
ごはん、みそ汁、野菜のお浸し + みそ汁に豆腐、魚や納豆を追加
食事例では、肉・卵・魚・大豆のたんぱく質が豊富な食品を少しずつ加えてみました。
いつもの食事に少し追加するだけなので、難しい栄養バランスは考えずにたんぱく質量は増やすことができます。
慣れてきたら他の栄養素もバランス良く取り入れられるとさらに良いですね。
高齢者の食事についてもっと詳しく知りたい方は、下記もご参考ください。
高齢者の食べやすい食事とは?安全で楽しい食事をとるための注意点
高齢者のおやつ・間食の目的や役割とは?選ぶポイントや注意点も
高齢者の低栄養を予防し、栄養不足にならない食生活を心がけましょう!
栄養状態が良いとされている現代でも、在宅の介護患者のおよそ7割が低栄養状態、またはその可能性が高いと言われています。
低栄養は体力の低下だけでなく、気力の低下や認知能力の低下を引き起こす危険性が高く、骨密度の減少によって骨折のリスクも上がりますので注意が必要です。
十分なエネルギーとたんぱく質を摂ることで低栄養状態を予防できますが、難しいという場合は高齢者向けのレトルト食品や宅配の食事を利用するのもオススメ。
いつもの食事にたんぱく質を一品追加するという方法も簡単にできるオススメの低栄養素対策です。
慣れてきたらトータルバランスも整えられると良いですね。
バランスの良い食事は健康な身体づくりの基本です。
ぜひこの機会に自分の食生活を見直して、栄養不足にならないような食生活を心がけましょう!
私たちライフピア八瀬大原Ⅰ番館は安心の看護・介護体制でご入居者様を24時間サポートする、介護付き有料老人ホームです。
ご見学も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
この記事を監修した人
- 星野 英俊 (ライフピア八瀬大原Ⅰ番館 事務長)
- 京都大原記念病院グループに介護職として新卒入職。京都大原記念病院 現場介護スタッフ、介護老人保健施設で施設相談員(ケアマネジャー)などとして約15年間、現場業務に従事。
事務職 転身後、ライフピア八瀬大原Ⅰ番館の事務長に就任し、
現在に至る。