高齢者にこそ水分補給が重要な理由は?周囲のサポートで脱水症状を防ごう
こんにちは、介護付き有料老人ホーム ライフピア八瀬大原Ⅰ番館です!
夏場はテレビや新聞などで「脱水症状」についての話題が取り上げられることが多く、よく耳にしている・水分を摂るように気を付けているという人が多いですよね。
よく耳にしていることもあって、日頃から水分を摂るように気を付けているという人が多いのではないでしょうか?
実はこの脱水症状、冬場も気を付ける必要があるってご存知でしたか?
特に高齢者は、体の機能などが加齢によって変化しているにもかかわらず、摂取する水分量は若いころのままか、逆に少なくなってしまう人が多いのです。
今回は、高齢者こそ水分補給が重要な理由や、さまざまなリスクを引き起こしやすい高齢者の脱水症状についてご説明します。
周囲のサポート方法も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
高齢者が重要な理由は、脱水症状に陥りやすいから
つい数十年前までは「部活動では水分補給禁止」や「学校への水筒持ち込み禁止」など、水分を摂ることを我慢するような風潮が強くありましたが、近年では水分補給の重要性が訴えられるようになってきました。
赤ちゃんから大人まで、どんな世代の人にとっても水分補給は大切だということが広まったことで、効率的に体に必要な水分を補給できる「経口補水液」を日々の生活の中で取り入れる人も多くなっています。
そんな中、特に水分補給を気にかけてほしいのが高齢者の方々です。
高齢者に水分補給が重要な理由は、脱水症状に陥りやすいから。
高齢者の中には、昔の「水分を摂らないことを美徳とする風潮」を引きずっていたり、「若いころに比べて汗をかきにくくなったから」と考え、水分を摂らない人がたくさんいらっしゃいます。
高齢者がなぜ脱水症状に陥りやすいのかその原因を見ていきましょう。
【1】加齢による身体の変化
加齢によって体の水分を保持する機能に変化があり、脱水症状に陥りやすくなります。
■体内の水分量が低下する
高齢者は、筋肉量の低下によって体内に蓄えられる水分量が低下します。
体内の水分量が低下すると脱水症状が起こりやすくなります。
■尿量が増加する(頻尿)
腎臓機能の低下により尿量が増加します。
排尿の回数が多いことを気にしてしまう方や、体が不自由などの理由でトイレに行く回数を減らそうとして、意識的に水分を摂らない高齢者の方もいらっしゃいます。
摂取する水分量は減ったのに、体内から排出される水分量が増加することで脱水状態に陥りやすくなります。
■喉の渇きを感じにくくなる
加齢により喉の感覚が衰え、喉の渇きを感じにくくなります。
体が持つ機能が衰えることで、体内の水分が失われる量は増え、渇きという危険性を察知しにくくなる状態になってしまうのです。
また、認知症の症状がある場合は、喉の渇きを感じにくいだけでなく、飲み物を飲むことを忘れてしまい、水分補給を十分にできていないこともあります。
他にも、服用する薬の成分に喉の渇きを感じにくくしたりする副作用がある場合も脱水症状の一因になります。
■病気による症状や薬の副作用の影響
高齢になると糖尿病や高血圧などの疾患を抱えやすい傾向にあります。
病気による症状や、治療に使われる薬の中には利尿作用を含んでいるものがあり、体内の水分が保ちにくくなってしまうのです。
【2】食事の量が減り、食事から補える水分量が減る
高齢になると加齢により身体機能や食欲が衰え、食事の量が減ります。
食事量が減ると、食事からの水分摂取量も減るので水分が不足しがちになり、脱水症状を起こしやすくなります。
高齢者の脱水症状は命の危険性も!重症化するリスクについて
脱水の症状には軽いものから命にかかわるような危険なものまであります。
軽度の脱水であれば「肌の乾燥」「ぼんやりする」「めまいやふらつきが出る」といった症状ですが、中度の脱水症状になると「頭痛」「嘔吐」「下痢」などの症状が出てきます。
脱水が重度の状態になると意識レベルが急速に落ちます。
意識がもうろうとし、体のけいれんが見られることもあります。
症状だけ見ると「めまいやふらつき程度であれば水分を摂って休めばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、めまいやふらつきは転倒を引き起こす可能性が大きくなります。
高齢者の転倒は骨折につながることが多く、骨折をきっかけに寝たきりになってしまうなど、重篤なリスクがあるという事実は見逃せません。
他にも、脱水症状によって次のようなリスクを上昇させてしまう可能性が非常に高いのです。
- ・尿路感染症
- ・歯科疾患
- ・気管支肺疾患
- ・腎臓結石
- ・がん
- ・便秘
- ・認知機能障害
高齢者にとって脱水は、ただの脱水から起きる症状だけを心配するのではなく、そこから重篤な症状につながる危険性が高い、ということを知っておかなければなりません。
また、夏の時期には熱中症にも注意が必要。
喉の乾きに気付きにくい高齢者は、熱中症が重症化するリスクも高いのです。
熱中症予防のためにも、適度な水分補給を心がけましょう。
高齢者が脱水症状にならないためにできる対策
脱水症状を防ぐための基本的な対策はただ一つ。
「水分を摂る」ということです。
適切な飲水量や頻度についてご説明します。
適切な水分補給の頻度と一日に必要な水分摂取量
高齢者に必要な水分摂取量は体重1kgあたり、40ml(1日あたり)と言われています。
体重が50kgの人であれば2Lを目安に摂る必要があります。
これは食事から摂取できる水分量も含むので、食事以外に1~1.5Lの水分を摂るのが理想的です。
水分補給は「喉が渇いていると感じる前」に飲むのが良いと言われていますので、できるだけこまめに水を飲むように心がけたいですね。
「1時間ごと」「毎食前・後」「散歩や買い物の前後」「起床後・就寝前」など、生活のリズムに合わせて意識して水を飲むようにすると忘れにくくなるのでおすすめです。
また運動後や入浴後などは、たくさん汗をかくので脱水症状を起こす危険性があります。
必ず水分を摂るように声をかけましょう。
脱水症状を起こさないための周囲のサポート
高齢者の場合は「水を飲むのが大切よ」と言うだけでなく、周囲のサポートが必要なケースも多くあります。
高齢者に水分を摂りやすくする方法や、水分を失いにくくする工夫について見ていきましょう。
【1】「水分を摂取する機会」や「水分補給しやすい環境」を整える
脱水症状を予防する方法としては「水分を摂ること」が一番ですが、水を飲むのが辛いと感じる高齢者の方もいらっしゃると思います。
例えば、1日に必要な飲水量の目安となるようなペットボトルやコップを用意し、「朝昼晩に分けて飲みきればバッチリ!」など、わかりやすく伝えることで水分補給を促すのもおすすめです。
また、体が不自由な場合は、近くに飲みやすい飲料を置いたり、水分を補給するタイミングで声かけするなどを意識して、水分を摂取しやすい環境作りをしていくことが大切です。
【2】室温・湿度を適切に管理する
高齢者の方は暑い・寒いといった感覚が鈍くなってしまう傾向にあるだけではなく、暑さや寒さを我慢してしまうことも多いです。
体に適切な水分量を保持するためには、室温や湿度が適切であることが大切です。
エアコンを使って温度調整をしたり、加湿器を使って乾燥をしないようにしたりして体から余計な水分が出ないようにしましょう。
【3】水だけではなく他のもので水分を摂る
水がどうしても苦手という方もいらっしゃいます。
利尿作用があるコーヒーやお茶などを多量に服用することは避けたいですが、水だけではなく本人が好きな飲み物も取り入れると水分補給の習慣を付けてもらうのに役立つかもしれません。
他には、食事から摂れる水分量を増やすことも考えてみましょう。
果物やゼリー、水ようかんなど水分を多く含む食品や、食事に汁物を付けるといった工夫で無理なく水分を摂りやすくなります。
「高齢者のおやつ・間食の目的や役割とは?選ぶポイントや注意点も」もあわせてご覧ください。
高齢者こそ水分補給が重要!脱水症状にならないために周囲もサポートしましょう
高齢者が陥りやすく、重篤なケースにもつながりかねない脱水症状。
加齢による身体機能の低下だけではなく、薬などの副作用によっても水分の保持は難しくなります。
こまめに少しずつ水分補給をし、渇きを感じない状態にしておきましょう。
高齢者の脱水症状を防ぐためには、周囲のサポートが重要です。
水が苦手な場合は、飲みやすい飲料を取り入れたり食事から摂る水分量を増やすなど、水分補給しやすい環境を整える工夫をしてみましょう。
京都の介護付き有料老人ホーム ライフピア八瀬大原Ⅰ番館は、 高齢者の暮らしに役立つお役立ち情報を随時発信しております。
高齢者の暮らしについて困った時は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事を監修した人
- 星野 英俊 (ライフピア八瀬大原Ⅰ番館 事務長)
- 京都大原記念病院グループに介護職として新卒入職。京都大原記念病院 現場介護スタッフ、介護老人保健施設で施設相談員(ケアマネジャー)などとして約15年間、現場業務に従事。
事務職 転身後、ライフピア八瀬大原Ⅰ番館の事務長に就任し、
現在に至る。